厳しく優しい山の洗礼

かつてKettle Valley Railway(ケトルバレー鉄道)が走っていたというMyra Canyon(マイラキャニオン)でのサイクリング。

ケロウナの夏、人気のアクティビティのひとつ。

 

まさかそこで真冬の寒さを味わうとは、思いも寄らなかった。

ハプニングは忘れられない思い出を作ってくれる。

 

 

鉄道の跡地に作られたトレイルコース。

全長12km、18個のトレッスル橋と2つのトンネル。

そこを、自転車で駆け抜ける。

 f:id:ammmi:20160802124343j:image

f:id:ammmi:20160802124438j:image

f:id:ammmi:20160802124447j:image

 

何とも気持ちがいい!最高だった!

f:id:ammmi:20160802124603j:image

 

…途中までは。

 

走っていたら、まさかまさかの大雨が始まった。

少し肌寒く雲の多い天気だと思っていたけど、雨が降るとは思いも寄らず。

しかも、バケツをひっくり返したような大大大雨。

雨宿りできるのは木の下くらいだし、レンタサイクルは返しにいかないといけないし、待ってても止みそうにないし。

 

走るしかなかった。

雨に濡れながら。

みんなでわーきゃー言いながら。

時折、黙々とただひたすらにペダルを漕ぐ作業を続けながら。

 

雨に濡れて風に吹かれて、本当に真冬の寒さだった。

手が霜焼けになるんじゃないかと思うくらい、凍ったように動かなくなっていった。

自分との闘いが続く。

 

「山の洗礼を、こんなにpeacefulな場所で受けるなんて…」

 

そんなことを考えながら橋を渡る途中、ふと周りの山々に目を向けてみる。

と、山が、空気を、吸い込んでいた。

雨の中で蜃気楼のように浮かぶ木々が渦を巻いている風に見えて、私も吸い込まれそうだった。

今どこに居て何をしているのかなんてことはもちろん、自分が誰なのかすら失くなる感覚が、そこにはあった。

 

ある意味で危ない感覚。

だけど、寒さも忘れて不思議と心地よくなってしまう。

「自然を生きるとはこういうことなのだよ」と、山が教えてくれたような気がして、急に感謝の気持ちが溢れた。

 

 

雨が降り出してからあまり人を見かけなくなったから余計に、自然に溶け込む感覚を味わうことが出来たのかもしれない。

 

不思議な感覚を残したまましばらく進むと、久しぶりに人とすれ違った。

雨音に混じって、彼らの口から「bear」という単語が聞こえた。

そう言えばレンタサイクルのおじちゃんが熊がいるって言っていたなぁ…とぼんやり思っていたら、突如として目が合ってしまった。

熊と。

 

「…あっ」

びっくりしすぎて、思わず声にならない声を上げて止まってしまう。

野生の熊を見るのは初めてのことだった。

私たちが走るトレイルの右手に伸びる山道に、彼は佇んでいた。

友人たちもやって来て一緒にその姿を確認…したけど、すぐに山の上の方へ帰って行ってしまった。

目が合った瞬間は長く感じたのに、その後は一瞬。

 

動物園じゃない、同じ空間・土俵の上で熊に出会うというのは、何とも不思議な体験だった。

 

「熊を見たいと思っていても、ほとんどの人が見れないからラッキーだったね」というのはホストマザーのLizの言葉。

 

 

熊に出会っておかしなな高揚感に包まれた私と友人たちは、寒さと闘いつつも楽しみながら終点を目指した。

2つのトンネルが雨を遮ってくれる一時に深く感謝しつつ、無事にみんなゴール。

よかった、無事に辿り着けて。

 

 

車で山の上から下へ降りていくと、そこには待ち望んでいた太陽の光があった。 f:id:ammmi:20160802125030j:image

 

ダウンタウンへ着くといつもの街並みが広がり、穏やかな休日を楽しむ人たちが居た。

一方の私は、買ったばかりのバックパックを泥だらけにし、全身びしょびしょで小汚く、芯まで冷えきった体がまだ震えている。

「バックパック新品と交換したい温泉入りたいあったかい洋服に着替えたいお腹空いたご飯食べたい…」一瞬にして溢れ出る欲(T^T)

 

でもそれを、太陽が暖かく包んでくれたんだ。

温もりを感じたら、もう、それだけで満足だった。

f:id:ammmi:20160802125133j:image

f:id:ammmi:20160802125209j:image

f:id:ammmi:20160802125252j:image

 

いつの間にか見慣れて"普通"になってしまっていた景色に、改めて有り難みを感じた瞬間。

幸せ感じる〜!生きてる〜!

って。